NPO法人の公告方法をチェックしておきましょう!
先日、とあるNPO法人の理事に就任し、そういえばNPO法人の公告方法について確認しておかなければと考えていたので、ついでといっては何ですが、この場を借りてNPO法人に係るお仕事をされてる方々にお知らせです。
といっても既に監督官庁等から通知がなされているかと思いますので、ご存じの方は再確認の意味合いでご覧いただければ幸いです。
◇資産の総額が登記事項から削除される
現在NPO法人の登記簿を見ると、資産の総額が記載されているはずです。この資産の総額という登記事項が今年の10月1日以降削除され、登記をする代わりに、貸借対照表を作った後、遅滞なく公告しなければならないといった形に変わります。
今までは資産の総額を毎年登記するにあたって依頼する士業の方に支払う報酬は別として登記にかかる税金は無料でした。今後は登記に代わって公告をしていかなくてはならないのですが、その公告方法をどう定めているかが問題なのです。
◇公告方法はどうなってる?
そこでまずは皆さんが関わってらっしゃるNPO法人の公告方法を確認しなければならないんですが、ご存じでしょうか?
公告の方法は設立当初の定款で定められていると思いますが、だいたいのNPO法人は「官報」に公告することになっているのではないかと思います。というのも当初の定款を作成する際、参考にするひながたが「官報」となっているためです。この公告方法が官報である場合、毎年貸借対照表を官報に載せないといけなくなるわけですが、官報に載せるっていくらかかるんでしょう。これは貸借対照表の文字数によるのですが、おおよそ7万円くらいが相場かと思います。そんな費用は勿体無いというわけで、今現在の公告方法が官報になっているのであればそれ以外のものに変更した方が良いのではないか、という話なんです。
◇どのように変更するか
公告方法の変更方法ですが、定款を変えていくことになります。
変更後の公告方法は、改正NPO法により次の1~4の方法から選ぶこととなっています。
1. 官報に掲載する方法
2. 日刊新聞紙に掲載する方法
3. 電子公告
4. 法人の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法
お金のかからない方法は「電子公告」か「法人の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法」になるかと思います。
◇例えば貸借対照表の公告方法だけ変更した場合の定款
(公告の方法)
第〇条 当法人の公告は、当法人の掲示場に掲示するとともに、官報に掲載して行う。
ただし法第28の2第1項に規定する貸借対照表の公告については、法人の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法にて行う。
◇公告の時期及び対象となる貸借対照表
公告の対象となる貸借対照表は、平成30年10月1日以後に作成する貸借対照表です。よって、平成30年10月1日までは、従来通り「資産の総額」の登記が必要となります。経過措置として、平成30年10月1日以前に作成した貸借対照表で直近のものについても、公告をしなければなりません。この場合、平成30年10月1日までに公告するか、平成30年10月1日以後遅滞なく公告する必要があります。
◇定款変更の手続きについて
公告方法だけ定款変更する場合、認証ではなく定款変更の届出のみで足ります。総会において定款変更の決議をとり、所轄庁へ必要書類を提出することで完了します。
◇登記は不要です
貸借対照表の公告方法は、登記事項ではありませんので、法務局への変更申請は不要です。
以上のような流れになりますがいかがでしたでしょうか。今一度ご確認の上、ご不明な点があればお近くの専門家等にご相談ください。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
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