借金の問題

生活していく上で、お金の問題は常に頭を悩ませます。

「気づいたら、借金が増えて返せそうにない…」

「返しても返しても借金が減らない…」

個人の方が抱える借金問題を法的に解決することを、『債務整理』といいます。貸主からの催告などで頭がいっぱいになり、現実的な解決方法を見いだせなくなることもありますから、専門家に相談されるのも、一つの方法だと思います。

具体的には、主に①任意整理、②個人再生、③自己破産という方法があります。さらには、利息を払いすぎていた場合には返してもらう『過払金請求』もあります。

任意整理

任意整理は、訴訟などによらず、借入先の金融機関と直接交渉して、借金を減額し、実際に支払えるよう返済方法を見直してもらう方法です。「借金の減額」というのは、基本的には「その後の利息や手数料がカットされる」ことであって、借金の元金が減る訳ではありません。しかし、利息こそ「返しても減らない借金」のもとですから、これには十分意味があると思います。返済の負担を減らしつつ、最終的には自力で借金を返済する方法です。デメリットとしては、個人信用情報に登録されて、「ブラックリストに載った」状態が5年程度続きます。この間、クレジットカードやローン、スマホ分割払い等の利用ができません。

過払い金請求

お金を借りる際には、利息制限法によって利率の上限が決められています。これに違反するような高額の利息は無効です。もし、過去に無効な利息を払ってきた場合には、返還請求をすれば、払いすぎた利息分のお金が返ってきます。ただ、2010年に法改正がなされ、それまで息制限法と出資法の間でグレーゾーンとされていた罰則はないが、無効な金利設定がなくなり、過払い金は発生しなくなりました。もちろん、当時の過払いがある方は(完済後10年以内であれば)、今でも返済請求できますから、そのような場合には過払い請求することで、かなりの額が戻ってくることも考えられます。

個人再生

個人再生というのは、借金などの返済ができなくなった人が裁判所に申し立てをし、税金等一部の例外を除いたすべての債務を減額してもらい、それを原則3年間で分割して支払うというものです。住宅ローンのある自宅などを手放さずに済むといったメリットがありますが、再生計画を定め、それに則り支払っていくというものですから、手続きは複雑ですし、継続的・反復的収入が見込めるといった条件もあり、要件に当てはまるかどうかの見極めが必要です。

自己破産

自己破産とは、債務の返済ができなくなった場合に申立てにより開始される破産手続のことで、裁判所から免責の許可を受けることができれば,借金の返済義務を免れることができます。借金がなくなる点は大変ありがたいのですが、その代わりに生活必需品を除いた財産を処分しなければなりませんし、自己破産の情報が官報に掲載されたり、10年間ブラックリスト入りする等のデメリットもあります。

任意売却

住宅ローン等の借入金が返済できなくなった場合、そのままの状態が続くと金融機関によって担保となっている住宅を強制的に競売をかけられてしまいますが、その前に所有者が金融機関の合意を得て売却する方法を「任意売却」と言います。強制競売よりは高く売れる可能性が高いです。また、金融機関の合意を得て行いますので、住宅ローンが残ったままで担保の設定を解除し、売却することができます。ただし、任意売却にはローンの支払いを滞納している事実が必要ですし、時間が経ちすぎると強制競売にかけられてしまうので、時間との闘いではありますし、連帯保証人や連帯債務者がいる場合には注意が必要です。