不動産登記にかかる費用

不動産登記にかかる費用は、おもに3つあります。
①  司法書士報酬
②  登録免許税
③  その他 実費

②の「登録免許税」は実費の一部ではありますが、額が高額になることがあるので、分かりやすいように、別にしています。

司法書士報酬

司法書士に依頼した場合に発生する費用です。
事務所によって異なります。
当事務所の司法書士報酬は、料金の目安を参考にしてください。

ご自身で登記申請をされる場合には、この費用は発生しません。

登録免許税

登録免許税法に基づき課される国税です。法務局に支払います。
土地や建物、会社の情報は登記情報として登録され、どんな不動産が存在し誰が所有しているのか、その土地に担保がついているのか、どんな会社が存在し誰が役員になっているのか、法務局で公に管理されています。不動産や会社は資産価値が高く、持ち運んだりできませんから、こうして権利関係を明示することで、無用の争いや混乱を避け、社会の安定が保たれているわけです。
そして、その内容に変更があるときは、法務局に届け出ます。これが「登記申請」で、登録免許税はその登記にかかる税金です。
この額は法律で細かく定められています。権利変動に関係する登記費用はかなり高いです。

その他実費

一般的に登記をする場合には、登記の内容を確認するため登記内容を閲覧したり、登記に必要な書類(住民票や戸籍、評価証明書)を取得したり、法務局に行くのに電車に乗ったりする費用が必要になります。
主な実費費用は以下のとおりです。役所や枚数によって異なるので、おおよその額です。

 

  • 登記事項全部証明書(登記簿謄本)…該当する不動産(会社)の履歴が全て記載されたもの。1通600円(オンライン申請割引あり)
  • 登記事項要約書…現在有効な登記の内容のみ記載されたもの。1通450円
  • 戸籍謄本…1通450円程度
  • 除籍謄本…1通750円程度
  • 住民票・戸籍の附票…1通300円程度
  • 印鑑証明書…1通300円程度
  • 固定資産税評価証明書…1通300円程度

そのほか、郵送料や通信費(電話代、FAX代)なども実費と言えます。

これらは、ご自身で申請されても(方法によって微妙に違いはあるかもしれませんが)必ずかかる費用です。

※なお、個人の印鑑証明書は司法書士が代理で取得は致しませんので、ご了承ください。

 

司法書士報酬とは何か?相場はあるのか?

司法書士報酬は、司法書士に依頼した場合に発生する費用です。

以前は、この報酬額には司法書士会の会則による規定があり、どの事務所でも報酬額に差は殆どありませんでした。しかし、平成15年4月にこの規定は削除され、報酬額が自由化されました。まあ、規制緩和の一つですね。

ですので、現在は司法書士事務所によって報酬額が異なっています。

司法書士としても、一体いくらにするのが妥当なのか、判断が難しいのですが、依頼する立場にとっても司法書士が提示する報酬額が高いのか安いのか、どの司法書士に依頼すればいいのか、悩ましいところです。

ひとつ、参考になるのが、平成25年に日本司法書士会連合会が行ったアンケート結果に基づく報酬額の平均額です。全国の司法書士から2,838名の司法書士を無作為に選んで、「報酬額はいくらぐらいに設定しているか」を質問した回答を集計したものです。

長くて分かりにくいので、近畿の主な報酬額の平均をざっとまとめてみました。

内 容 近畿の報酬額平均
所有権保存 ¥29,607
所有権移転(売買) ¥54,800
所有権移転(贈与) ¥46,286
所有権移転(相続) ¥67,034
表示変更(住所など) ¥12,791
抵当権設定 ¥40,402
抵当権抹消 ¥16,746
会社の設立 ¥110,926
会社の役員変更 ¥26,789
遺言公正証書作成及び証人 ¥53,071

司法書士報酬アンケート結果(2013年実施分。近畿地方)

もちろん、これが全てではありません。

例えば「所有権移転(売買)」の報酬額を見ても、「取引に立ち会う費用」や「登記簿謄本確認費用」「日当」なども込みで算定している事務所もあれば、この額とは別途請求する事務所もあると思います。あくまで参考に、というものです。

そして、報酬額が司法書士を決める決定打でもないと思います。

司法書士報酬は決して安くはありません。扱う内容も不動産など高額なものが多いです。ご自身が信頼できる司法書士を探すことは大切です。

そのために、いろいろなHPを見たり、人に聞いたりして比較検討した上で依頼されることをお勧め致します。

 

自分で登記をするか、司法書士に依頼するか

もっとも登記手続きは、司法書士でなければできない訳ではありません。ご自身で登記をされれば、この費用を節約することが可能です。

今は、いろいろなホームページで「自分でできる登記手続き」の案内がありますから、自己申請にチャレンジされるのも一つの手だと思います。中にはお勧めできないものもありますが、抵当権抹消登記などは、比較的取り組みやすいかと思います。

ご自身で登記されるメリットは、何と言っても、

  • 費用が安く抑えられること。司法書士報酬は、決して安くはないですから、とても重要なことです。
  • また、不動産は重要な財産ですから、それがどう管理されているかを知る良い機会でもあると思います。

逆に、ご自身で登記されるデメリットは、

  • 登記簿の見方、申請書や添付書類作成の方法、その背景にある法律知識なども勉強しなければならず、意外と大変な場合も少なからずあること、でしょうか。

時には登記の方法が不十分で、後のトラブルに発展することもあるので、その点はご注意の上、必要であれば法務局に相談するなどして登記申請を行うことをお勧めします。

司法書士に相談するメリットは、

  • やはり専門家ということで、法律知識に基づいた登記申請を行うという意味では安心ができる点
  • オンライン申請は個人ではなかなかできないので、オンライン申請を行うことで(遠方の登記など)費用が抑えられることもある点
  • 税理士・弁護士・土地家屋調査士といった他業種とのネットワークある点でしょうか。

すみません。つい、自分本位にメリットが多くなってしまいました…。その辺りは、差し引いてお考えください。

司法書士に相談するデメリットは、

  • 報酬がかかること!!! です。